50歳からの仕事と人生

50代から始める介護・仕事・健康について

介護福祉士国家試験の資格は必要なのか・取らないのは怠惰なのか

介護施設で働いているびょうです。

 

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先日やっと、介護福祉士実務者研修が修了しました。

今日、会社に修了証書を持っていきます。

これで介護福祉士国家試験を受ける資格がえられたので、今からが本番です。

 

 

 

介護福祉士については、今から勉強を始める時期でもあることからか

その資格の是非についていろいろ話題になっています。

介護福祉士は意味がない、という人。

介護福祉士を取らないのは怠惰だと言う人。

どちらもわかるのですが、どちらも一概に断定は出来かねます。

 

 

 

業務独占資格名称独占資格

国家資格には業務独占と名称独占の資格があります。

業務独占では、その資格無しにはその業務に携わることが禁止されています。

医師や弁護士、身近な所では看護師など、必ず資格がないとその仕事ができないというのが病夢独占資格です。

一方で、名称独占資格については、資格を持たない人がその職業を名乗ることは禁じられていますが、資格を持たない人がその業務を行っても罰せられることはありません。

名称独占資格には保健師、栄養士、理学療法士などがあります。

 

 

 

介護福祉士名称独占資格

介護福祉士名称独占資格なので、無資格の人や初任者研修のみ取得している人が、介護職に就いているからと言って、私は介護士です、と名乗ることは禁止されています。

以前労災の書類を自分で作った時に自分の職業は何と書けばいいのかちょっと迷ったことがあります。昔は資格自体がヘルパー2級などでしたからヘルパーと書けばよかったのでしょうけど、その後、ヘルパーの資格は介護職員初任者研修と改められましたから、初任者所持の自分は、一体何という職業なのか、迷いました。そこのところ、ちゃんとしてください、厚生労働省の誰か。

しかし介護福祉士は名称独占ですから、介護福祉士がやっている仕事の多くは無資格の方でもできるのです。

 

介護福祉士は無駄という気持ち

介護福祉士を取るには、近年、システムが変わったので、多くの人が通るルートとしては入職する時に介護職員初任者研修を受け、その後、実務経験3年以上経ってから、介護福祉士を受けることができます。その間に、介護福祉士実務者研修という研修を受ける必要があります。

この実務者研修の費用が高く、ほとんどの職場で最低賃金に近い低所得の介護職には敷居が高い。それに仕事をしながら研修に通い、やっと介護福祉士を取っても、やる仕事は今までと一切変わりがなく、どうかしたら無資格の人と並んでおむつ替えしたりするのです。

取っても無駄、という人の気持もわからないではないです。

 

資格を取らないと怠惰という圧力

私は入職してからずっと夜勤専従なので、業務の中で、起きている利用者を見ることは少ないです。やる仕事も、利用者の老後を素晴らしいものにする為に尽力することはなく、ただ毎回、暗闇の中でおむつを変え、汚れた衣類を取り替えて、嫌がる利用者にひっぱたかれたり、家に帰ると言い張る利用者を説得したりするだけ。

だから大金を払って資格なんて要らないと思っていました。

でも、資格を取れるだけの年数を働いているのに資格を取らないと、あの人はやる気がない、あの人は駄目だ、というレッテルを貼られてしまう、そんな同調圧力があります。

 

介護福祉士取得済の同僚の仕事ぶり

自分は家で勉強しにくいので職場で空いた時間に勉強させてもらいますが、それを同僚たちが見に来て、言います。

「ああ懐かしいなあ」

「やったけどもう忘れた!」

実際、勉強しながら得た情報で助かることもあるので今の時点でも業務に活かしている事があるのですが、それを話すと、多くの資格持ちの同僚が、そうなんだ!知らんかった!と言います。

利用者が搬送か、という場面でも、体位変換をして状況を変えられる場合もあるのですが、資格を持っている同僚はそれを知りませんでした。むしろ、逆の方向に変換してたりして驚きました。勉強なんて一時的に詰め込んで、終わったら忘れてもいい、そんな受験勉強的な知識では救える利用者も救えないじゃないか、と思ったことが何度もあります。

 

3年の実務経験から得られる知識は大きいけれど

現在、介護福祉士は実務経験3年を積んでから受験資格が得られるので、わざわざ勉強しなくても、その実務経験の中で得られる知識は大きいです。後から勉強して「ああ、そうだった」と思うことも少なくはありません。しかし、残念ながら同じ経験をしても、そこから何かを得る人、得ない人がいるし、そこで疑問に思ったことを掘り下げて調べたり人に聞いたりする人もいれば、すっかり忘れてしまう人もいます。それに、受け持つ利用者の人数、その介護度でも得られる知識は格段に違います。

 

知識と経験から得られる知識だけを良しとしない近年の風潮

初任者研修を受けた人なら覚えていると思いますが、新しく生まれ変わろうとしている業界を感じる場面があります。それは、

「経験やカンに頼る介護を止めましょう」

ということです。

言い換えると「根拠がある介護をしよう」ということです。

医学や技術は日進月歩、日々変わっていきます。それを、目や耳に蓋をして、ひたすら自分の経験からの介護を続けようとする年配の介護職のやり方に辟易することは意外と多いものです。まだ介護施設なんて無かったのよ!と病院で看護助手をしていた60-70歳代の方の介護は独特だったりします。

そういう流れから、新しい風通しの良い業界にしよう、という考えがあります。

 

研修や試験は貴重だけどお金がかかる

私は悩んだ結果、社会福祉協議会から融資を受け、実務者研修を終えました。

お金がない訳ではないですが、実務者研修10万、介護福祉士の受験料1.8万、受かったら登録料が1.3万程度かかるわけで、それを時給がちょっとだけ上がる資格手当でペイしようと思ったらあまりにも長くて途方に暮れるからです。介護ヘルパーの時給は多くの地区で、最低賃金に毛が生えた程度です。非正規雇用も多いですから、さあ10万払って!と言われても戸惑う人は多いはず。

 

研修で知識のすり合わせと軌道修正できるのは貴重

しかし、お金を払って研修を終えてしまうと、改めて文章で可視化された知識は有り難いと思いましたし、何となく脳梗塞と総称していることでも実際にどういう症状だ、とか、認知症のそれぞれの中核症状を見比べたりするのは興味深かったです。

それに、つい面倒なので手を出していた介護が自立支援を阻害していると改めて思い出されました。初任者研修でも「やりすぎ!過剰な介護は残存機能を奪う虐待ですよ!」と言われていました。初心に立ち返り、軌道修正できるのはとても貴重な時間だったと思います。

 

実務者研修単体での評価は難しい

実務者研修を終えての感想なのですが、実際には実務者研修は通信だったので勉強はほとんど自習でした。実務者研修では、さらっと、本当にさらっと駆け足の説明だけだったので、眠かったです、死にそうにキツかった… 介護福祉士の知識はそんな感じだし、実務者研修の多くの時間を「介護過程」という、ケアプランをみんなで考えよう、という演習に使っていたのですが、それは、講師の方もちょっと触れていたけれど、ちょっと無駄な感じがしました。

 

介護過程への疑問

ケアプランを実際に作るのは上位の資格のケアマネです。

自分の施設のサービス提供責任者の人が私の勉強を見に来て驚いていました。

「私達はケアマネが作ったプランに従って実際の支援を入れるだけだから、そんな難しいことはしなかったわよ〜」と言われました。同僚も昔は実務者研修無かったからそんなこと、したことないよと言っていました。

その介護過程で、クラスメイトと話したのですが、一番難しかったのは作例の利用者の境遇があまりにも恵まれていて、

「正直そこまでできているなら介護いらんやん」という例が多かったのです。

年金が年に20万、歩行器で歩けて、たまに外にでかけてお寿司を食べている。たまに昔の同僚がお寿司を持ってきてくれるので居室で食べた。いつも娘が買い物をしてきてくれる。家族もみんな優しくて介護にこぞって参加してくれている。さてこの人の人生を豊かにするために、介護保険制度を使って私達は何をすべきでしょうか?と言われても、これ以上、何をしたら?とみんな戸惑っていました。正直、わざわざ2日もそれに割いた意味がわかりません。

 

 

資格所持していても背景が全然違う

今回、実務者研修のクラスメイトの中で介護福祉士を受けるのは8人中5人です。

それぞれの3年を過ごしていますが、その違いに驚きました。

デイサービスや小規模多機能型施設で働いているけれど、介護度が軽い方ばかりを見ているのでちゃんとおむつをつけられない人もいましたし、一番驚いたのは、生活援助のみ提供するという訪問介護の人はおむつはもちろん見たことも触ったこともないそうで、車椅子の使い方がわからず苦心されていました。それでも勉強さえしたら取れてしまうのが、現在の介護福祉士です。

 

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介護福祉士取得における正しい考え方

介護職には真面目な人が多いのでSNSでも小さな事から大きな論争に転じてしまうことが多いです。介護福祉士なんて無駄だ!いや!資格を取らないなんてありえない!という当てこすりを見ていて、なんだか嫌になったのもあり、他にも理由がありましたが、今はあまり見ていません。

私が考えるのは、

まず、取れる環境にある人は取りましょう、知識や学び、他の施設の人との交流はとても良いことだと感じました。持っていれば転職にも有利です。

しかし。

持ってない人も持ってないなりの理由があるのですから、それはそれ、一つの多様性、ダイバーシティが推奨される現代での対応として、口を出すことではないと思います。

大人になってまで勉強したくないもん、というのも一つの生き方だと思います。

持っていない人も、とりあえずお金や時間を使って人さまが取った資格をどうこう言うこともないと思います。

そして、介護福祉士を持っている人がそこで得た知識を駆使して素晴らしい介護を実現していけば、見ている人も、そうなりたい、と思う事があるかもしれません。取った後にもその人の生き方に反映されてこそ、有意義な資格といえると思います。

私もあんな風になりたい!私も取ります!と思われるような働きをしたい、と思います。

まだ取ってないけどね^^;

 

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